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  3. 「認可申請」建設業許可の承継②|従業員さんへの事業承継に5年間準備した事例
建設業のイメージ

今回も、私が実際に携わった「建設業許可の承継」のお話をご紹介します。

前回(承継①)は、個人事業主のお父様から息子さんへの承継でした。第2回の今回は、会社の経営者から従業員さんへ事業を引き継いだ事例です。

5年ほど前のことです。長年お付き合いのあった福岡市の電気工事会社について、建設業許可の「譲渡及び譲受け」に伴う認可申請を担当しました。

「会社をたたむか、誰かに引き継いでもらうか」

その会社とは、認可申請の時点で20年近いお付き合いがありました。

代表者様はご年齢のこともあり、いずれは会社をたたむことも考えておられました。それでも、従業員さんに「事業を引き継ぐ気持ちはないか」と尋ねてみたところ、「引き継ぎたい」というお返事があったそうです。

そこで、「事業承継に向けて何を準備すればよいか相談したい」と、私も会社へ呼んでいただきました。

営業所技術者の要件は、満たせる見込みでした

建設業許可を引き継ぐには、譲り受ける会社の側でも、許可の要件を満たしていなければなりません。

後継者となる従業員さんは「第二種電気工事士」の資格をお持ちで、免状の交付を受けた後の電気工事の実務経験も3年以上確認できました。第二種電気工事士は、免状の交付後に3年以上の実務経験があれば、電気工事業の「営業所技術者等」になることができます。

そのため、営業所技術者等の要件は満たせる見込みでした。

※当時は、現在の「営業所技術者等」にあたる立場を「専任技術者」と呼んでいました。

残った課題は「経営業務の管理責任者」の要件

一方で、すぐには満たせなかったのが「経営業務の管理責任者」の要件です。

従業員として電気工事の経験を積んでいても、それだけでは建設業の「経営」の経験にはなりません。

そこで、まずはその方に有限会社の取締役に就任していただき、建設業の役員として5年間の経験を積んでいただく計画を立てました。

「すぐに引き継ぐことはできないんですよ。とりあえず取締役にご就任頂き、経営経験を積まれる5年間、待っていただく必要があります。」
そうご説明して、将来の承継に向けた準備が始まりました。

ここがポイント

  • 電気工事業では、第二種電気工事士+免状交付後3年以上の実務経験で、営業所技術者等になれます
  • 現場での経験だけでは、「経営業務の管理責任者」の要件は満たせません
  • 役員としての経験は、登記などの書類で確認できることが大切です

5年間の準備を経て、いよいよ承継の手続きへ

取締役への就任から5年がたち、経営業務の管理責任者の要件を確認できる段階になったところで、具体的な承継の手続きに入りました。

まず、後継者となる方を代表者として、久留米市に株式会社を設立しました。そのうえで、次の形で事業の「譲渡及び譲受け」に伴う認可申請を行いました。

  • 譲渡人:建設業許可を持っていた福岡市の有限会社
  • 譲受人:新しく設立した久留米市の株式会社

この手続きは、単に「許可の名義を変える」というものではありません。事前に認可を受けておくことで、譲渡の日に、建設業者としての地位をそのまま譲受人へ引き継ぐ手続きです。

この事業承継の制度は、2020年10月に始まりました。事前に認可を受けることで、許可が途切れる「空白期間」を作らずに引き継げるようになっています。福岡県も、譲渡及び譲受け・合併・分割・相続の認可申請について、手引きや必要書類を公表しています。

新しく会社を作るだけでは、許可は引き継げません

この事例では、後継者の方が新しく株式会社を設立しました。ただ、新しい会社を作っただけで、有限会社が持っていた建設業許可を使えるわけではありません。

譲り受ける株式会社について、経営業務の管理責任者や営業所技術者等などの要件を確認し、認可を受けておく必要があります。

会社の設立、役員の就任、許可要件の確認、事業譲渡の内容、認可申請の時期。これらを互いに関連させながら進めていきました。

5年前から準備していただいたおかげで、最終的には、有限会社から新しい株式会社へ、無事に建設業者としての地位を引き継ぐことができました。

従業員さんへの承継にも、早めの準備が大切です

事業承継というと、ご家族への引き継ぎを思い浮かべる方が多いかもしれません。でも、長年勤めてきた従業員さんが事業を引き継ぐケースもあります。

その場合も、後継者となる方が建設業許可の要件を満たしているかを、早めに確認しておくことが大切です。

  • 技術者の資格は足りているか
  • 実務経験を証明できるか
  • 経営の経験は、いつから積み始めるか
  • 個人事業として引き継ぐのか、新しく会社を作るのか

こうした点を整理しないまま承継の時期を迎えると、許可をスムーズに引き継げないこともあります。

「いずれは会社を従業員に任せたい」
そうお考えでしたら、承継がまだ数年先のことでも、どうぞお早めにご相談ください。今の状況をお聞きして、承継に向けて何を準備しておけばよいかを一緒に整理いたします。

むらせ行政書士事務所では、建設業許可の譲渡及び譲受けに伴う認可申請はもちろん、会社設立や承継後の許可の手続きまで、ご相談を承っています。

※本記事は、実際に取り扱った事例をもとに、関係者が特定されない範囲で構成しています。許可要件や必要書類は、個別の状況によって異なります。


関連する業務案内

建設業許可の申請・更新・承継については、「建設業許可」ページをご覧ください。会社設立については「会社設立」ページ、経営事項審査・入札参加資格申請・建設キャリアアップシステムについては「建設業関連」ページでご案内しています。

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