
建設業許可の承継について、第3回です。
第1回はお父様から息子さんへ、第2回は会社の経営者から従業員さんへの承継をご紹介しました。今回は、建設業許可を持つ個人事業主が株式会社などを設立して法人化する、いわゆる「法人成り」に伴う認可の手続きについて書かせていただきます。
当事務所ではこれまで、福岡市博多区の防水工事業者様、筑紫野市のとび・土工工事業者様、同じく筑紫野市の造園工事業者様など、個人事業から法人化する際の建設業許可の手続きを数多く担当してきました。
以前は、法人で許可を取り直す必要がありました
個人事業主と法人は、法律上は別の事業者です。
そのため以前は、個人事業で建設業許可を受けていても、その許可を新しく設立した法人へそのまま移すことはできませんでした。個人事業の建設業許可について廃業届を出し、設立した法人で、あらためて建設業許可の新規申請を行う必要があったのです。
この方法には、主に次のような問題がありました。
- 個人事業のときと法人化した後で、建設業許可番号が変わる
- 個人の許可を廃業してから法人の許可が下りるまで、許可の「空白期間」ができる
- 理屈上、軽微な建設工事を除いて、新しい工事を請け負えないことになってしまう
- 取引先や元請業者に、許可番号が変わったことを説明しなければならない
同じ代表者が、同じ場所で、同じ建設業を続ける場合でも、個人から法人へ変わるだけで、このような対応が必要でした。継続して工事を受注している事業者様にとって、許可の空白期間は特に大きな問題でした。
令和2年から「認可」による承継ができるようになりました
令和2年10月1日に施行された建設業法の改正で、事業譲渡、合併、会社分割などによる建設業許可の承継の制度ができました。個人事業から法人化する場合も、この事業譲渡による認可の制度を使うことができます。
法人化による事業の承継日より前に認可を受けておけば、承継日に、個人事業主としての建設業者の地位を、そのまま法人へ引き継ぐことができます。
認可を受けて承継する場合、原則として、これまでの建設業許可番号も引き継がれます。また、個人の許可と法人の許可の間に空白期間を作らず、事業を続けることができます。
長年使ってきた許可番号をそのまま使えることは、取引先との関係や事業の継続という面でも、大きな利点だと感じています。
ここがポイント
- 法人成りでも、事業譲渡の「認可」で建設業許可を引き継げます
- 承継により、許可の空白期間ができません
- これまでの許可番号もそのまま引き継がれます
法人を作れば、自動的に許可が移るわけではありません
ただし、会社を設立すれば、個人の建設業許可が自動的に法人へ移るわけではありません。
引き継ぐ法人の側でも、経営業務の管理責任者、営業所技術者、財産的基礎、営業所など、建設業許可の要件を満たしている必要があります。
また、個人事業主と新しく設立した法人との間で、建設業に関する事業を譲渡する契約を結び、承継日より前に認可申請を行わなければなりません。
福岡県の手引きでは、原則として、認可申請の時点で引き継ぐ法人が設立されていることが求められています。そのため、会社設立の日程と、建設業許可の承継日をあわせて検討する必要があります。
法人化のご予定を伺った段階から準備します
これまで当事務所で取り扱った法人成りの事例でも、単に認可申請書を出すだけではなく、次のようなことを前もって整理しました。
- 法人を設立する時期
- 建設業を法人へ引き継ぐ日
- 法人の役員構成や事業目的
- 経営業務の管理責任者と営業所技術者の配置
- 社会保険への加入
- 個人から法人へ引き継ぐ建設業の範囲
- 経営事項審査や入札参加資格への影響
福岡市博多区の防水工事業者様、筑紫野市のとび・土工工事業者様、造園工事業者様についても、それぞれの営業の状況に合わせて、法人の設立と認可申請の日程を調整しました。
法人化する理由や事業の状況は、事業者様によってさまざまです。会社設立と建設業許可の手続きを別々に考えるのではなく、全体の流れを見ながら進めることが大切です。経営事項審査や入札参加資格申請が必要な場合も、あわせてご案内しています。
法人化を考え始めた段階でのご確認がおすすめです
「そろそろ法人化したい」
「税理士さんから法人化を勧められた」
「今の許可番号をそのまま使いたい」
そうお考えでしたら、会社設立の手続きを始める前の段階で、建設業許可の承継についても確認しておくことをおすすめします。
むらせ行政書士事務所では、筑紫野市・大野城市・太宰府市を中心に、福岡県・佐賀県全域の事業者様から、法人成りに伴う建設業許可の認可申請、会社設立後の経営事項審査や入札参加資格申請まで、ご相談を承っています。
法人化の時期や今の許可の状況をお聞きして、事業に空白ができないよう、必要な手続きと日程を一緒に整理いたします。ご相談は無料です。どうぞお気軽にお問い合わせください。
参考資料
※本記事は、実際に取り扱った事例をもとに、関係者が特定されない範囲で構成しています。許可要件や必要書類は、個別の状況によって異なります。
関連する業務案内
建設業許可の申請・更新・承継については、「建設業許可」ページをご覧ください。会社設立については「会社設立」ページ、経営事項審査・入札参加資格申請については「建設業関連」ページでご案内しています。



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